伝説.パイピングロック14金無垢★ハミルトン★Cal.747☆1950年頃 トノー&ラウンド

 1892年、ランカスターウオッチカンパニーから発祥し、ランカスター創業家”ハミルトン2の名を冠してスタートしたアメリカを代表する時計メーカーであり、1892年のオハイオ州の列車事故をきっかけに、それまで必要としなかった鉄道時計アメリカタイムキーーパーとしての役割を担い、”グレード940”などアメリカ懐中時代の基礎ともなった。第二次世界大戦中には、アメリカの時計メーカーでは唯一のマリンクロノメーターの制作、そしてアメリカ軍用時計など世界にもその名を轟かせてきた。ご存じ”エルビスプレスリー”がこよなく愛した時計としても有名な世界初電池式時計”ベンチュラ” の造形への独創的発想や、1969年、当時のホイヤー、ブライトリングが世界初自動巻きクロノグラフの開発の折、マイクロローターの提供や、莫大な開発資金提供など時計産業の発展に対して世界的にも主軸的存在となっていったのは言うまでもない。
そんなハミルトン史の中、世界にのし上げた代表的モデルが存在する。それは1925年に始まったアール・デコの芸術的装飾に変貌を遂げていく中、1928年、アールデコの象徴たるトノーシェイプとラウンドをフュージョンさせるというその大胆不敵な要塞のような趣とセクシーな一面も備えたミステリアスなケースで全米を騒がせた。1928年、この年のワールドシリーズで優勝したベーブルースを含む31名に記念品として当時のヤンキースオーナーである”ジェイコブ・ルーパート”がヤンキースのエンブレムを施したパンピングロックを贈呈し”ヤンキース”と名付けられたことで世界にその名を轟かせ、当時”$125”で販売され品切れ状態という事態まで引き起こしたことでも有名である。当然、ムーブメントに至っても当時のスイス時計のほとんどが15石であった時代、ヒゲゼンマイの微調整を行える”Cal.979F”が19石を既に導入していたことでもこの一品の当時のクオリティーの高さが伺えるであろう。

そして今回ご紹介させて頂く一品は、当然、伝説”パイピングロック”、30年代後半、その伝説は突然消え失せ、50年代に入り復活したモデルであり、独特の贅沢に14金無垢で仕上げられたトノー&ラウンドのフュージョンケースは見ているだけでもウキウキ、ドキドキさせてくれる。更に14金無垢の地にエナメル仕上げされたベゼルの光沢感はまるで琥珀を思わせるような深い味わいを魅せる。そして60年以上の時を年輪のように積み重ねてきた経年のヤケを思わせるメタル仕上げされたダイアルはドームのアクリルの光の造影感がブラックスチール針とスモールセコンドのキュートな味わいと合間見合い魅惑な思いと駆り立てていく。ムーブメントはハミルトンの50年代を代表する”747キャリバー”、ストライプ仕上げを施したブリッジに平石ながらも油溜りを深くとり保油率を高め耐久性を重視したビジョンブラッドのルビー、そして太いチラねじがアメリカンマニュファクチャーとしての最高の味わいを魅せてくれる。バックケースには1954年1月4日、トランスアメリカンフレイトラインカンパニーから15年の忠実なサービスを心から感謝して記念品として授与された証が刻まれているが、ケース、エナメルベゼルも含め、目立つキズの無い最高のコンディションであり、この一品を見たあなたは、その一瞬から脳裏から離れられない衝撃的な出会いとなることをお約束しよう。

【コンディション】

日差±120秒、ゼンマイ、ガンギ、テンプのチェック済みの最高の一品。ムーブメント3ヶ月保証お付けいたします。バックケースに記念品として授与された証が刻まれているが、他ケース、エナメル仕上げされたベゼルには目立つキズがない最高の逸品。