1954年アーカイブ☆18金無垢シャンパンゴールド★パテック フィリップ★Ref.652/3

幻という名の名機に出会った時…

誰もが歓喜し、一度手にとりたくなる時がある

…古きものにこそ美が存在する

57年の時を経て、人々に語り継がれるものは何か

少し大きめと感じるスーツに、その日の気分で自分ごのみのベストで装いをこらす。時折りスーツ内に手を伸ばし、3目のボタンから垂れ下がる深く編み込まれた紐を手で懐の奥まで這わせおもむろに取り出す。指に触れた瞬間から感じる静かな時の語らいを一時の快感として味わう。その繰り返しの中で静かに流れいく時を贅沢に噛みしめていく。季節の移り変わり、そして物の存在、そして人の存在を、そして世界に繋がる同じ思いの人間がその一瞬にまで存在することを知り、決して人は、一人ではないことを感じるはず…….

そんな思いとしてタイムピースという産物は創造されたのであろう。そんなことを心の底から感じる逸品をご紹介したい。
美しいくなければ時計ではないというスイス職人の原点とも言うべくポケットウオッチの世界をこれほどまでに表現した逸品として今回ご紹介するのは、1954年に製造され販売されるまでなんと12年という月日が流れているミステリアスなアーカイブを持つ。その神秘な思いを感じさせる出で立ちは、シルバーメタルのしっとりとした雰囲気を漂わすダイアルにブレゲナンバーがさりげなく光る。そこに細めのバトンハンドが気付かぬうちの時を動かし、それを一瞬の時として伝える為に6時位置に配した指標と重なり合うように風の如き静かに時を刻む針が美しさとしてそこに存在する。
しかしその見事な18金無垢のシャンパンゴールドの淡い光で包む45ｍｍという存在は、耳をあてるまでに時間のかからないほどの探究心を駆り立て、そっと耳を這わすまでに至ってしまう。その存在を目で確かめる如きケースを静かに開け、目に飛び込んできた瞬間の衝撃に我を忘れてしまう…….

2番、3番車を固定するブリッジが大きく湾曲し、しなやかなラインを創り出し、4番車とガンギの固定ブリッジすべてに、明方の静まり返ったジュネーブ湖畔に葉先から雨滴が落ちた瞬間に出来る波紋を表現したコートドジュネーブが施され、そこにビジョンブラッドのエキストラルビーでさえも、当時の職人の妥協をやるさない耐久性への拘りとして、ルビーの側面まで丸く仕上げたオリーベを施し、更にミ・グラスとしてドーム状の優しい曲面を表現する。ジュネーブ様式の美しさを表現した先には、ブレゲひげゼンマイと、そこから伸びたる先に見るビーンズプレートのヒゲ持ちが光沢の美しさを放ち、更にデカメのチラネジが、バイメタルの切テンプとして2重となるメタルフュージョンと合間見合い、芸術という限界に踏み込んだ最高の証としてバックラッシュを無くす為に造られたスワンネックが更にそこに存在する…….

すべてにおいて完璧を求めた結果がここあり、それは言い表しのようのない形で存在し、美しさを凌駕した姿がそこにあることを最後にお伝えし、この逸品が父から子へ、更にその先の未来へと夢と希望を背負い存在していくことをお約束したい。