1944年…耐磁への思い★IWC オールドインター★幻…Cal.60 ステイブライト スティール

STAYBRIGHT…ニッケルを多く含んだ18/8含有スティール。耐食性が高く、ニッケルの要素を活かした耐磁性も優れ、それはタイムピースに交わうことで、100年、いや200年の時を永遠に刻む最高の証となった。
指に触れ、軽く叩く瞬間、このメタリアル特有の音に何か昔懐かしい何か哀愁に似た温かい気持ちにさせてくれる。それはその時代、ミリタリーから埋まれた防水の先の”スクリューバックケース”を見に纏い、STAYBRIGHTのどんよりしたくすんだスティールカラーが見事にこの逸品のすばらしさを伝えてくれる。唸る思いの先につい指が反応してしまうゼンマイを巻くという行為。その瞬間、指の腹に感じる独特のごつごつした感触。それは防水というプロセスが生んだIWCの特別な存在……それも左向きに横たわる体には尖った口に鰓まで描き、背びれ、腹びれ、胸びれを繊細に深く刻む。当時の職人の妥協を許さぬ匠の技としての証が、その魂がそこには存在した。指から湧きあがる感動を楽しみながら、そっとそっそのSTAYBRIGHTのケースに耳をあてる….そしてそこから聞こえる18000振動のロービートが奏でる優しい響きに、我慢しきれない思いとしてその魚目リューズが語るスクリューバックを左の3回転半ほど回し開けた瞬間のそのわすが3年間という生産の中で12600個の命を育み、短命でありながら88,89へとDNAを引き継いだ最高のキャリバー”Cal.60″のドラマとして、油の保油率を高めたオリーベを施したビジョンブラッドの深いエクストラルビーとシャトン留めの確かな耐久性へのクオリティー、その各2,3,4番車を抱える各ブリッジの曲線とした美しいラインがコートドジュネーブの湖畔に落ちゆく雨滴の波紋の美しさと交わり、IWC特有のシリアルを深々と刻んだテンプに拘るブレゲヒゲゼンマイとチラねじとの最高のサウンドがいつまでもいつまでも耳の奥に、そして心の奥に残像のように存在しつづけていった.

ANTI-MAGNTI….耐磁という存在を特別なものとして刻んだ最高のペットネーム。そしてCal.60というけ現実を目辺りにし私は今、この逸品に出会えたことを感謝しよう…

『プロローグ』
1930年、その生産ラインを確立し腕時計という分野において伝説となりその後の腕時計のキャリバーとしての基礎を築いた”Cal.83″キャリバーが誕生し、Cal.65の精神を独特なブリッジ配列を受け継ぎ、1938年、様々な形状のケースに対応できるようにムーブ径を一回り小さくした”61,62キャリが開発され、それはセンターセコンドとして新たな命の幕開けとなり誕生した。それは後、Cal.88、Cal.89の名機達の足跡となったのは言うまでもない。

伝説名機….Cal.60