激希少パイロット クロノストップ★オメガ Ref.145.008★名機Cal.885 ステンレススティール

1965年、マーキュリー計画から続いた最終アポロ月面着陸計画のオフィシャルウオッチとしてスピードマスターが決まったこの年、本当の意味でのオメガの野望は始まったとも言っても過言ではない。それまでのオメガの主力であるシーマスターは、1952年の300誕生からノーマルなカレンダーモデルを中心に、そこにデビルを加え地道な開発方針であったが、その1965年、それは一気に加速した。同年、300の後釜となる120シリーズや、Cal.286いわゆる30mmキャリバーを搭載ししたことでペットネームとなった”シーマスター30″、600系キャリバーを搭載することで登場した”シーマスター600″など、その怒涛のようなニューモデル発表は当時、1969年アポロ月面着陸のオメガの底知れぬ野望に向けてのスイス時計産業界を中心に世界的時計産業への刺激となっていったのかもしれない。その代表的なモデルと言っても過言ではないのが、今回ご紹介するCHRONOSTOP/クロノストップである。それまで海の世界、陸の世界にオメガは着実にその地位を築き上げてきたが、アポロオフィシャルウオッチと決定したオメガは当然、今まで成功を収めていなかった空への野望をかくのは自然なことでもあろう。1966年、レマニア”Cal.865″を搭載することで、クロノグラフを簡略した秒積算系だけをそうびした誕生したこのモデルは、当初はダイアル外周にタキメーターを備えることで、速度などの計測することを可能とし、パルスメーター的役割も備えた、それは翌年、初期のスケールから回転するターニングスケールへと変貌を遂げた。10時位置にあるリューズでその回転ベゼルを操作することで、パイロット達などの残燃料、ダイバーの酸素残などへの確認も可能とした。今回ご紹介する一品は、”Ref.145.008″。特徴的なそのターニングスケールは、1から60まで目盛りを記した”カウントダウン”と同時期に発売された1から24時間表示とした”パイロットモデル”。その24時間を2重に表示することで、世界の時間を読みとめことを可能とした。例えば1時位置がフランスであると、5時間の時差が生じる20時位置がニューヨーク位置であったり、9時位置が日本時間となり、オメガ初となるワールドタイムとしての機能も充実させたこととなった。

その後、オメガはその後70年に入り、シーマスターラインから浸水領域をペットネームとした無欠の600プロプルフ、1000プロフェッショナルと世に送り、1969年には、フライトマスター、更にスピードマスターファミリーとしてCal.861の量産型を導入、マークⅡなどの名機も誕生させ、同機搭載のシーマスタークロノグラフラインも充実させていったが、同年、セイコーからクオーツ”アストロン”の発表、71’sのVFA発表に伴いその後当初70万円近いクオーツモデルが10万円以下のモデルも発表、世界はクオーツ一色に流れていき、更に73’sには世界大恐慌がおこり、69年のアポロ計画を期に怒涛の快進撃であったはずの時計産業が波乱の幕開けとなっていった。その後1980年の終わりまで長い時計産業の冬の時代が続いていったのも事実である…….

時代に翻弄したモデル….クロノストップ Ref.145 0008