1970年代美品★ブライトリング インカブロック★Cal.7734 クロノグラフ

1884年、若干24歳であったレオンブライトリングが、ストップウォッチに興味を抱き、腕時計に計器を搭載する開発に来る日も来る日も没頭した。しかし彼が、幼き頃から夢見たのは飛行士への夢であった。1903年、ライト兄弟が空を飛んだ。それは彼の決意を確かなものとした。空へ飛ばそう、自分の造った時計を、彼の思いは息子”ガストン”に引き継がれ、1915年世界で始めて腕時計としてのクロノグラフが誕生し、1923年のクロノグラフプッシャーの世界で始めての開発、更に3代目伝説の”ウィリーブライトリグはクロノグラフの原型たる2時位置、4時位置のクロノグラフプッシャーへの開発を世界で始めて成し遂げた。その後続くウイリー伝説。1942年、世界初回転式対数目盛り付計算尺”クロノマット”、1952年、世界初航空用回転式計算尺”ナビタイマー”。その後もブライトリングはジャックホイヤーとの出会いにより世界初自動巻きクロノグラフの”Cal.11″開発、そして”スイスマニュファクチュール協会の設立へと揺ぎ無いものと誰もが確信していた。しかしその頃、既に彼に忍びよっていたのは、夢ではなく挫折との日々であった。”Cal.11″開発により当時、開発費として多大投資したCal.11の世界初自動巻き”クロノマティック”の販売の矢先に、クォーツショック、更に追い討ちをかけるようにオイルショックも重なり世界初自動巻きクロノグラフ神話がもろくも崩れ去っていった。ウィリーは危機を乗り越える為、”オーレッヒ&ワイス社”、”SINN”などにクロノマティックのケース、そしてその”Cal.11″までもを身売りし、当時のバルジュ-社に設計図さえも売ることとなってしまった中、最後の切り札であったナビタイマー主力ムーブ”178キャリ”のヴィーナス社がエボーシュ連合として統合され、”178キャリ”の生産を打ち切るなど、信じられない現実をウィリーを襲い、幾度が病で倒れた。そんな暗雲立ち込める1970年代の一品は、なるべく製造費を安価に済ませる為に、ワックマンの工場で製造したりとし、プライリングの工場でも売れないモデルは、早期終了させ新たにデザインを作り変えあの手、この手で販売戦略を練り、結果、現在、その当時のモデル自体の絶対数が少なくなっていった。

そんな1970年代の今回の一品、ハイポリッシュなヘアライン仕上げされたステンレスは防水としての2ピースのスクリューバックとなり、フーデッドとしての特徴を色濃くすることによりラグの縦径が45mmというトノーに近い容姿をかもし出し、独特でブライトリング史上、後先この時代にしか発生しないモデルとしてコレクターからは絶大の人気のあるケース形状をかもし出している。
特にサイドのクロノプッシャーとのかみ合わせ部分はステンの塊を抉りとるような造形に対してのディテイルを強く感じ、持った瞬間にずっしりくる重厚感は、見たまま、いや予想以上の重みでこの一品を手にするすべてに驚きと感動を与えてくれる。そして、ブルーメタリックのダイアルに2レジスターのクロノホワイトダイアルをサークル状にイン溝仕上げし、立体的な造形とし、タキメーターをスカイブルーに繊細に描き、独自性をアピールしている。それはすべてオリジナルのキズ無しの最高の状態である。しかもダイアルの6時位置にデイト付きであるのにすぐにピンとくる”バルジュ-7734″までもが新品の如きネジ巻き痕も全く無いデッドストックと言わんばかりの最高の状態で、18000振動の優しいロービートで耐久性を感じながらクロノプッシャーを押した瞬間に感じる独特な強引とも言える固めの操作感は、人間が操作している感覚を強調させるかのような機械式への拘りさえも感じる一品であることをお伝えしたい。

そして最後にウィリーが1979年にアーネストシュナイダーにブライトリング社を100年の歴史ごと引継いだこと、何よりも血統を委ねたこと。そしてそれはウィリーの機械式時計への拘りとして1984年、バルジュ社の”Cal.7750″の復活劇、クロノマットを新生させスイス時計業界をクォーツショツクから救った機械式の幕明けとなり現社長”セオドア・シュナイダー”にもブライトリング家の血が引き継がれていることは間違いないことを…….

【コンディション】 日差±60秒、ゼンマイ、ガンギ、テンプのチェック済みの最高の一品のムーブメント3ヶ月保証お付けいたします。クロノグラフ完全可動、0ポジション戻りOK。ダイアルは、全く経年のヤケも無い奇跡と言っても過言ではないすばらしいコンディション、ケースは小キズはあるものの、全体的には、綺麗だと感じております。