18金無垢アラーム★レビュートーメン クリケット★Cal.ETA1568 世界500本限定

Criket….クリケット

“VULCAIN/ヴァルカン”創業者であるモーリス・ディティシャイムの血を引き、熱きアラームの思いを生涯にささげた『アラームの父』と呼ばれるロバート・ディティシャイムにより1942年に開発された…そして彼を一人の父として愛したミッチェル・ディティシャイムは、後こう書き残している。

『彼のアラーム開発への情熱は、並大抵の努力で出来たものではない。今世紀最大の功績として称えたい。そして彼は、それ以上に母と私を大切にしてくれた』と….

しかしこの言葉の裏に隠された真実の悲劇は、彼の高すぎるクオリティーの上、自ら悲劇を呼んだのかもしれない。それはその後の怒涛のような各メーカーによるアラーム開発合戦、アラームを最初に開発したエテルナは当然、ルクルト社、ユンハンスなど、独自の機構を備えたアラームを開発し、その後エボーシュ連合の刺客として、ついにア・シールドから1954年、安価なエボーシュ用ムーブメントが開発された。それによりほとんどのスイスメーカー、日本に至ってはイチズンなども”1475キャリ”を買い入れ、アラームは世界的に広がっていった。それによりヴァルカンは、当時のMSR(マニュファクチュール・ドロロジュリー・スイス・レユニエ)への傘下を余儀なくされ、クリケット開発から20年足らずで”ヴァルカン社”は崩壊の路を辿ることとなる….しかしそのクリケットの思いは、後レビュートーメンとして今も尚、その伝説は偉大なる”Criket”として永遠に残されることとなった。

今回の一品、そうレビュートーメンからその伝説の名を残す為に2005年に世界限定500本として誕生した一品、34㎜というそのオールドスタイルは、18金無垢として偉大なるその名に相応しくあるよう仕立てられた。その輝きにまして右サイドのデカめの2時位置のアラームと4時位置のメインクラウンは目を惹くほどの存在感を露わにし、スナップバックの18金無垢ケースのセンターに深く刻まれた”Criket”の文字はこの逸品の最大のストーリーを奏でてくれる…しかし、”Criket”独特の切り替えプッシャーとなるトリガーの存在はどこにもない。2時位置のアラームクラウンを回せば、当然そこには2文字のキャリバーが脳裏に浮かぶ…”AS/
ア・シールド”1475…そう,そこに搭載されているのは、因果なものでクリケット,ヴァルカンの崩壊の要因ともなったキャリバーの存在を感じる。2時位置のクラウンを引きなるとなれば、セカンドAS以降のもの、デイトが搭載されるとなれば、おのずと”Cal.1568”が浮かんでくる…ヴァルカン クリケット…あの”Cal.120”を愛する私は、複雑な気持ちであり、個人的にこの一品を手に取り、反逆者的妄想をそこに抱き、Criketの名すら刻んでほしくないと感じてしまったが、この名をこの現代に残す為には、しょうがなきことと感じよう…この名の偉大な歴史を残す為に….そしてロバート・ディティシャイムの情熱を語り継ぐ為に…

そうこの一品が世界限定500本としてその名を残してくれるのだから…..